羊の水海

エッセイ

2020年7月18日

劇場とカレーとコーヒー

何かたまには映画でも見に行こうかと思ったけれども、映画館のWebページで現在上映中の作品をちらちらと確認していたけれども、特に見たいと思う映画がなかった。

身支度は整えたがどこにも行く気起きず、AmazonPrimeVideoで何か無いかと探していると、先ほど映画館のWebサイトに載っていた又吉原作の『劇場』が配信されていた。劇場公開と同時に動画サイトでも公開を開始するって珍しい試みだなと思って視聴した。

恥ずかしながら又吉の原作は読んだことはないし、芥川賞受賞作の『火花』も読んだことはなかった。

この『劇場』という作品のストーリーも知らなくて、ざっとあらすじを読んだ限りでは、「売れない演劇の脚本家が恋人と生活しながら演劇での成功を志す話」かと思っていたけれども、実際見てみると「売れない演劇の脚本家が女性のヒモになり葛藤する話」だった。メインは演劇というよりも、恋人との関係性のように思えた。

何らかの芸術の分野で活動しつつ売れてない人の中には女性に食べさせてもらっている人もいるという話はよく聞くが、それでもこの映画に出てくる女性のように都合の良い人間は本当にいるのだろうか、と視聴しながらずっと思っていた。

個人的に印象に残ったシーンは、彼女が美容師に暴言を吐かれたという話を聞いた主人公が「変なことにはしないから」と言いつつ美容院まで殴り込みに行こうとする際に彼女が「目がバッキバキだけど」みたいにツッコミ入れているところ。実際に主人公の顔を見るとめちゃくちゃ目がバッキバキだった。演技ってすごいな。

こう書いているとつまらなかったように見えるかもしれないけど、結構楽しめた。創作の才能に対する葛藤とか、他人と自分を比較してしまうところとか、現状における最善が頭では理解できているのに行動できないもどかしさとか、その不器用な精神は人生において誰しもが一度は抱えたことがあるのではないだろうか。

映画を見た後は、腹が減ったので家の近くに新しくできたカレー屋に行った。ルーカレーの店で、正直レトルトカレーとの違いがよく分からなかった。僕が単純に貧乏舌というだけのことであるが、それを差し置いても最近のレトルトカレーは美味しいと思う。甘いのも辛いのもスパイシーのものも古今東西多種多様十人十色手に入れられる。企業努力が素晴らしい。

その後はコンビニでコーヒーを買った。僕はコーヒーを飲むと具合が悪くなる体質であるが、味が好きなので時々飲みたくなるのだ。何で具合が悪くなるのかは分からない。カフェインが起因しているのかとも思ったけれども、コーラを飲んでも紅茶を飲んでもカフェイン錠を飲んでも具合は悪くはならない。それにしてもカフェインというのは効き目が強いのにどうしてコーヒーやエナジードリンクがコンビニで普通に陳列されているのだろう。ニコチンなんかよりも効き目が強いし、常用性も高いはずだ。現にもうすぐ深夜2時になるのに、一杯のコーヒーを飲んだだけで僕の目は昼間に見た『劇場』の主人公と同じぐらいバッキバキなのである。不思議な話だ。

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